純

ルビー・スパークスの純のレビュー・感想・評価

ルビー・スパークス(2012年製作の映画)
3.9
あ〜お洒落!ひとつひとつの画面構成もシーンの移り変わりもアングルも色彩も洗練されてる。タイプライターの音でさえもリズムを作っててストーリー展開のテンポも良かった。

全体的には可愛らしくてファンタジーみたいな設定が生きてるんだけど、それ以上に印象深いのが対比。まず、虚構の中の現実。つまり、タイプすることで自分の理想の女の子が「作れる」、彼女を自分の好きなように「操れる」っていうファンタジー要素と、たとえそんな魔法を使ったって幸せにはならないんだって現実的な部分が全体を通して描かれてる。そもそもカルヴィン=現実、ルビー=虚構ではあるんだけど。人が人を支配しようとするなんて、どんな形であれ不可能だし、少なくとも本当の幸せを運ぶものではないんだなって実感した。

それと同時にカルヴィンとルビーの色彩(濃淡)の対比も鮮やか。これは素直にお洒落で可愛いよね。赤毛のルビーが罪なくらい愛嬌があって可愛いもんだからすぐ彼女のとりこになっちゃったわ(笑)自由奔放で喜怒哀楽がはっきりしてて、ころころ変わるその表情が愛くるしいことこの上なかった。

(500)日のサマーのスタッフが手がけたってこともあってデートシーンはめちゃくちゃのはちゃめちゃに可愛いね。ばかみたいにキャーキャー言ってホラー映画観るの、なんか良い(笑)プールのシーンも可愛くて好きだし、前半はまさにセンス爆発の可愛い祭りだった。

でも、後半から色彩的にも内容的にも暗くなる。捨てられる恐怖からルビーを操作するようになったカルヴィンも、違和感を感じ始めるけど、1回いじってしまったら元には戻せない。戻せるけどいったん変えた事実は消えないし、待っているのは恐れていた捨てられる孤独感。人はわがままだしずるいから変に過信しちゃっておこがましくふるまっちゃうんだろうなあ。可愛い映画なのにさりげなく人間の負の部分をそれとなく示してる。

完璧なんて存在しないし、理想なんて理想にすぎないのかもしれないけど、マイナスの部分があってもお互いに埋めあっていけて、それを楽しめるような関係っていいよね。綺麗なことばっかりじゃないし、嫌なこともあるけど、完全なピュアなんて存在しないし、欠点があるからこそ見える良さだってきっとあると思う。持論だけど、完璧ほど面白くないものっていもんね。不完全な人間らしさこそ最高でしょう!

お洒落だけどちゃんと中身のある1本。女の子は特に好きな子多いと思うからぜひぜひ。
純