TAK44マグナム

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

4.0
「おまえは虎だ。虎になるんだ!」
というのは、「タイガーマスク」だけど、虎は誰もが持つ獣性や暴力性の象徴として扱われています。

そんな「虎」と、小さなボートで227日間も漂流した、インドの少年パイの物語。

非常に幻想的な映像美が特徴で、美しくも恐ろしい自然との戦いであるサバイバルが描かれます。
主人公の設定が、あらゆる宗教を受け入れるという設定なので、それはまるで壮大な宗教体験の様です。
次から次へと試練が待ち受け、パイはそれを乗り越えてゆきます。
そういった体験が、原始的な獣性を最終的には飼い慣らし、パイを大人へと変えてゆくのだと思いました。
16歳というと、なんとなく、ちょうど大人への階段を登る時期なんじゃないですかね?


ラストで語られる「真実」だけが、人の求める「真実」じゃなく、時には「虚実」が「真実」として語られてゆくこともある。
そんなに多くはないにしろ観念的な表現もあるので、すべてを理解するのは難しいかもしれませんが、パイがなぜ、荒唐無稽な冒険談を語るのか?その理由は察することが出来るのではないでしょうか。



本作は3D視聴を基本としていると思います。
漂流体験の臨場感の感じ方もまったく違ってきますし、まるでアートの様なグラフィックと3Dの融合も見事です。
3D表現は、かなり効果的に使われていて、飛んでくるトビウオの群れの場面などは、けっこう飛び出て見えます。
キービジュアルにもなっている発光クラゲとクジラの場面は、思ったよりもアッサリ風味でしたけど、やはり美しい映像に仕上がっております。


ビジュアルの斬新さ、高水準のCG、どれもが未体験レベル。
哲学的だけど無理に堅苦しくしないで、カラフルな絵本を読むように楽しめる映画です。


セル・ブルーレイ3Dにて
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