サトタカ

レッド・ライトのサトタカのレビュー・感想・評価

レッド・ライト(2012年製作の映画)
3.8
この映画「レッド・ライト」は、スペイン人ロドリゴ・コルテスが監督・脚本・製作まで行ったサイコスリラー。ロバート・デ・ニーロ、シガニー・ウィーバー、キリアン・マーフィー(『オッペンハイマー』でアカデミー主演男優賞受賞)、そしてエリザベス・オルセン(MCUのワンダ・マキシモフ役でおなじみ)といった名優が出演する。レビューはわりと賛否両論だが、私はかなり好きだ。長身で堂々とした態度ながら心に深い傷を持つマーガレット・マシスン教授(シガニー)のさびしげな表情がよかった。

映画のストーリーについては、多くの視聴者がその緊張感とミステリアスな雰囲気を高く評価しているようだ。超常現象を調査する科学者とその助手が、長年表舞台から姿を消していた伝説の超能力者と対決するという設定自体、観客を引き込むに十分な魅力を持っている。とくに、デ・ニーロ演じる超能力者サイモン・シルバーの存在感は圧倒的だった。

一方で、物語の進行や展開に関しては批判的な声もある。なかでもクライマックスに向かう過程でのプロットの複雑さや一部の伏線が回収されないまま終わってしまう点が指摘されている。また、映画の終盤における急展開や、観客に解釈を委ねるような曖昧な結末は、視聴者の間で意見が分かれるところ。これらの要素が、サスペンスとしての一貫性を欠くと感じる人も多いようだ。

視覚効果や音響デザインについては肯定的な評価が多い。緊張感を高めるための音楽や効果音の使い方がうまく、映画全体の雰囲気を効果的に盛り上げている。また、撮影や照明の工夫も評価されていて、暗闇や影を巧みに利用したシーンは視覚的にも楽しめる。

演技については、主要キャストの実力が存分に発揮されており、特にシガニー・ウィーバーとキリアン・マーフィーのケミストリー(化学反応)が際立っていた。彼らの対立や協力の場面は、映画の中でも特に見どころ。キリアン演じるトム・バックリー博士は、敬愛するマシスン教授に対して自分に対する何らかのジャッジメントを求めているようにも思えた。
また、若いエリザベス・オルセンは、そこまで重要な役ではないが、非常に魅力的に見える。

総じて、「レッド・ライト」は、超常現象や心理スリラーに興味がある観客にとっては一見の価値がある作品と言える。しかし、あえて説明不足にして観客に誤認させようとしたり、投げっぱなし設定があること、2012年に公開された映画にもかかわらずスプーン曲げやESPカード透視といった古くさい能力を得意げに描写するなど、万人受けする作品ではないかもしれない。それでも、名優たちの緊迫感あふれる演技や、映画全体の雰囲気を楽しむことができれば、満足度は高い作品となるだろう。
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