OASIS

シュガー・ラッシュのOASISのレビュー・感想・評価

シュガー・ラッシュ(2012年製作の映画)
5.0
ゲームの世界でいつも悪役としてビルを壊す日々のラルフ。
30年間愛されたゲームの中で、ラルフは自分の存在に疑問を感じていた。
「俺だってヒーローになりたい!」とみんなに認められる為金のメダルを探す旅に出る。
そしてある事故で、レースゲーム「シュガー・ラッシュ」の世界に迷い込み、少女ヴァネロペと出会う。

大傑作。続編・完結編次第では「トイ・ストーリー」以上の。
完全にやられた。ディズニーに泣かされた。2013年一番の大号泣。
涙腺崩壊ですよ。
もう映倫R-25指定してもいいんじゃない?っていうほど20代後半~30代男性にはたまらんでしょう、コレ。
子供時代、ゲーセン族だった俺は、主人公ラルフへの感情移入度が半端なく、物語への没入度も初めからMAX。

前半は懐かしのゲームキャラクター達が次々現れ刺激満載。
リュウ&ケンはバーへ飲みに行き、ザンギエフが悪役達を会議でまとめ上げて、ロビーにはソニック・ザ・ヘッジホッグの案内が響き、春麗&キャミィが会話を交わしながら歩いてくる。
ダンボールの中にはメタルギアソリッドの「!」
とにかく視界が楽しくて、あちこちに目が行って忙しくなるほど。
このシーンだけでも何回でも見直せる。

後半は「シュガー・ラッシュ」の世界に迷い込んだラルフと、少女ヴァネロペとの友情物語。
このヴァネロペが本当に可愛い。
吹き替えしかやっていなかったが、ラルフの山寺宏一の安定感も然ることながらこのヴァネロペ役の声優の女の子の演技の巧さったらない。
ロリコンではないはずなのに、ラルフを振り回す仕草や挙動のあれやこれや全てが可愛らしくて好きになってしまう。
友近も言われるまでわからない程良かった。
むしろ吹き替えじゃないと、細部まで観るという事ができなくなるので逆に良かったか。

ピクサーではお馴染みのジョン・ラセターも加わった脚本も素晴らしい。
レースゲームの世界という場面設定が、物語の重要な点になっている点。
伏線を張りながら、いい所で登場する悪役。起伏が上手い。
しかもその悪役がコンピューターの内部に入り込むコマンドが「コナミコマンド」(!)
ゲーム世代に対するユーモアセンスが冴え渡ってる。
エンドロールへのこだわりも尋常ではない。

ゲームのキャラクターがもし人間と同じ感情を持っていたら?
そんな奇抜な発想から始まった物語が、現代のこどもたちには斬新なビジュアルとして見え、レトロゲーム世代にはキャラクターの思い入れ等から来る胸に迫る感動を呼び起こす。
「毎日毎日俺は何をやってるんだ・・・。」というキャラクターの思いを、そのまま自分に置き換えてしまう俺たち。
しかし、「責任を持って一つの事をやり続ける」という事の凄さ、素晴らしさはラルフが働き続けた30年間の思いと重なって人間の人生とはというテーマにまで切り込んでくるこの深さ・・・。
どんなヒューマンドラマの傑作より、ラルフ一人の生き方にこうまで心を突き動かされるとは。

「童心に帰る」とは正にこの事。
ずっとこのキャラクター達、この世界に浸っていたいとさえ思った。
夢の国はあまり好かないが、この映画を作ってくれたディズニーに心から感謝。
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