Aria

フライトのAriaのレビュー・感想・評価

フライト(2012年製作の映画)
3.0
英雄か、犯罪者か
神よ、力を

題材が白黒つけるにはなかなか難しい問題で…。飛行機事故自体は明らかな整備不良なんだけれど、それとは別に機長であるウィップがアルコールと薬物摂取の状態で操縦にあたっていたことが論点になってくる。

ウィップが機長だったから被害が最小限に防げたというのは誰もが納得する。しかし、アルコールと薬物依存はこの事故とは別問題だよね?という気持ちで見ていたけれど、ニュースに出ていた信仰心の強い夫婦を見て気づいた。

航空会社・パイロット・乗務員を信頼し、そんな見ず知らずの人に自分の命を預けて飛行機に乗っているという事。

パイロットがどんな問題を抱えているかは分からない、けれど安全に目的地まで送り届けるという責任がある。

何が原因で起きた事故であれ、正常な状態ではない人間が操縦桿を握り、その結果の被害であればパイロットもそれ相応の罪を償う必要がある。

難しいね…。

断酒会で話していた男性の言葉が重かったし、それに対して背を向けて出て行くウィップの姿も印象的。

ホテルのシーン
めちゃくちゃ良い場面!と思ったのも束の間、秒で落とされた…。

人間そう簡単にいかないよね…
その後の尋問のシーンで出たウィップのセリフがかなり重みがあった。

直前の直前まで保身に走り、酒に溺れドラッグに頼っていたウィップの選択。

トリーナへの敬意
亡くなった人への弔意
亡くなった人、家族、信頼を裏切った人々、そして神への懺悔。

これまでのウィップを見ていたら
赦しを請うというのがどれだけ
大変で勇気のいる事なのかが分かる。
ましてや目の前に英雄としてのゴールがあるにもかかわらず。

本当にデンゼルワシントンの演技が素晴らしかった。堕ちた男の逃げの精神と、良心の呵責に苛まれる微妙な心理を見事に演じてた。最後の表情もすごく良かった。
Aria

Aria