このレビューはネタバレを含みます
さり気なく丁寧に描画される映像美とほどよく豊かなストーリーが楽しめる、美しい自立型ロボット(アンドロイド)と人とのつながりを描く、アナログとデジタルの調和が美しい映画。
美しいアンドロイドと雪の古くからある美しいヨーロッパの小さな街並みとの調和が素敵。
猫のロボットも完璧。猫飼ってる人が作った映画だよね。きっと。
動きがとっても賢い猫型ロボット(たぬきに間違われない)
まずは、映画に登場するアンドロイドを制御するシステムが美しい。
ガラスで作られた様なアーティスティックなユーザーインターフェース美しい。
細部のデザインまでこだわってると見受けられるのは、自動車の中のメーターもしっかりデザインされている。
そして、アンドロイドがある世界観と中世から数百年と変わっていないだろう街並みとの調和が美しい。
ストーリーもとても丁寧に人間ドラマを描いている。
とくに感心したのは、ストーリーを追っていく中で、あれ?これってどうなってるっけ?ってのが極力解消されるように作ってある。
具体的には、エヴァって子供の女の子が、主人公のロボット研究者の家に行くんだけど、主人公の移動手段は自動車。エヴァが人で訪ねてきたり、通ったりする。最初はどうやって一人で来たのかな?とストーリーとは関係ないところで、はてな?って思うこともあるけど、その直後に、自転車で来たよ。とか、実はこの街は割と狭いってのが風景の描写であるんだけど。
これが、説明的でもなく、自然なシーンで納得できるように作ってある。
この観る側に寄り添った丁寧な映画づくりがこの映画の素晴らしいところの一つです。
自然にこういう描写や演出がされているので、気づきにくいですが、何箇所か気遣いを観れるところがあります。
パーティーのシーンで、レコードかかってるところで、音量の表現がホログラムっていのも、アナログとデジタルの調和で素敵。さり気なくこういうのがあるのがセンスある。
S・I・7というおじさんのアンドロイドが家事などをする為に登場しますが、感情レベルの上下の描画もすごいと思った。
アンドロイドの停止に使われる言葉が「目を閉じれは何が見える?」って、素敵な詩的な文章なのがおしゃれすぎる。
最後の海辺でたわむれるシーンで、人間として生きてる自分も宇宙から見ればロボットの様な存在ではないか、とさえ思わせる哲学的な描写がオチとなっており、深みがあり、おりゃれでもあり、切なくもあり、いい。
アナログとデジタルを美しく調和させた世界に魅了されました。