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ゼロ・ダーク・サーティのhi1oakiのレビュー・感想・評価

ゼロ・ダーク・サーティ(2012年製作の映画)
3.7
“これだから米軍はひどい”みたいな事を、現実を元にして繋ぎ合わせたフィクションであるこの作品に対して言ってもしょうがない。諸説あるみたいだけど、主人公は性別を変えたか複数の人物を1人に纏めたいわゆる架空の人物。この作品がどれくらい真実に迫っているのかは2061年の機密情報公開まではわからない事で、そもそもそこで開示される情報が真実である保証も無い。
まぁストーリー的には世界的に知られている発端と結末なので、意外性もクソもない。ならばそれをどう料理しているのかということでしょう。
キャスリン・ビグローって結局のところ重いテーマの作品で何かメッセージを伝えるのが目的じゃないですよね。純粋に“現世に確かに存在する地獄”を描きたいだけなんじゃないかなと。かと言ってそのどちらかを美化するわけではなく、それぞれの正義という暴力によって起こるイデオロギーやメンツの戦いを私情を込めずに冷徹に描く。ひとつひとつのシーンがウェットになり過ぎない。だからこそ怖い。そこが好き。
とは言えそれは女性として初めてアカデミー監督賞を獲った「ハート・ロッカー」以降の話だけどね。90年代は大赤字世紀末映画「ストレンジ・デイズ」(原案・脚本は元旦那ジェームズ・キャメロン)とか撮ってたんだもん。
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