改名した三島こねこ

アンチクライストの改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

アンチクライスト(2009年製作の映画)
3.0
<概説>

とある夫婦が事故で息子を喪った。そのショックで気を病んだ妻のために、夫は療養もかねて山奥の別荘を訪れる。しかしそれは更なる狂騒の幕開けで…

<感想>

女性蔑視的な作品とまで言われる、トリアー監督の中でも過激な部類の一作。実際生々しい描写だとかもありました。ただこれは女性蔑視でしょうか。むしろ精神構造が複雑なトリアー監督が素直に表明した、女性への不安感だとかをそのまま映像化したようにも思えるのです。

本作はストーリーの繋ぎがかなり荒っぽく、妻の感情の起伏がいっそキチガイのようにすら見えます。ただこれは男性からは大なり小なり、「ああ女ってこういう意味不明なところあるよね」というような共感を覚えはしないでしょうか。私はトリアー作品という不安感の中でそれを感じました。

また一方で「女性はこんな暴力的なことはしない!」といった逆差別的な見方を批判しているようで、ある種清々しくすらあります。おもしろさとはまた違った、嫌な爽快感。

ただ先に言ったように色々要素を混ぜ込みすぎて物語の本筋が雑然としているのが残念ですね。それぞれのアイコンを理解しても、ちょっとそれは無理があるというような繋ぎもかなりありましたし。とはいえ非キリスト教圏での感想なので、海外ではまた評価が異なるのでしょう。