メランクさん

約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯のメランクさんのレビュー・感想・評価

4.0
「二人の死刑囚」という別なドキュメンタリーで概要は知っていたが、今作で改めて検察による捜査の杜撰さと、再審請求を棄却し続ける裁判所の不合理さを知り、本当にクソすぎる現実に言葉を失う。

真犯人についてはわからないし、奥寺さん本人が真犯人である可能性が否定されたわけじゃない。
しかし「疑わしきは罰せず」という原則に従えば再審が認められないことは明らかにおかしい。今作は棄却した裁判官をしっかり名指ししている。その再審のために必死の努力を続けてきた弁護団の無念たるや、もう想像を絶している。

残念ながら今作上映後に奥寺死刑囚は獄中で亡くなっている。
今作を見れば彼が冤罪の被害者である可能性が極めて高いことがわかる。
今作のような作品が多くの人に見られ、冤罪というものの不条理さと、この国の司法の現実について考える機会になればいいと思う。