ぬまつ

風立ちぬのぬまつのレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
2.4
自分が2013年劇場鑑賞時に書いた感想をそのまま掲載。なんか力説してるな。


いつどこで誰から聞いた話か忘れましたが一昔前、
「宮崎駿監督のジブリ映画に共通するものって何だと思いますか?」
という問いかけがありました。
正解は、『空を飛ぶシーンがある』でした。

「魔女の宅急便」や「紅の豚」では主人公がずっと飛び回るし。
「となりのトトロ」では夢の中でサツキとメイが
トトロに乗って成長した木の周りを飛ぶシーンが印象的だし。
「千と千尋の神隠し」では千尋とハクの飛ぶシーンがクライマックスだし。

宮崎監督は空に夢を持っている人で、空を飛び回る鳥に
憧れを抱いていて、その自分の夢を映画で描いている。
という、誰か忘れましたがその人の話がずっと心に残っていました。

だから、飛行機作りに情熱をかけ続けた実在の人物・堀越二郎さんの人生を描いた
この『風立ちぬ』は、まさに宮崎駿監督の集大成作品だと思って鑑賞に臨みました。


それだけに、う~ん、ちょっと期待通りではなかったかなぁ。

もっともっと、堀越二郎さんの空に対する情熱が濃く描かれているものだと思っていました。
オープニングがピークだったようにも思います。
オープニングで描いたんだから、中盤以降でももっと描いてほしかったです。
エンディング、「私は空に夢を託し続けます。菜穂子さんの分も」
みたいな描写なんかも欲しかったです。

菜穂子さんへの想いは切なくて良かったけど、終盤はどうもその菜穂子さん
ばかりに偏っていて、飛行機はどうでもいいや~みたいになってしまっていて。
「生きねば」のメッセージも、いまいち伝わってこなかったです。

監督がちょっと「感性」に頼り過ぎていた気がします。
伝わる人には伝わるんだろうけど、自分には合わなかったです。
ところどころに盛り込まれるファンタジーの要素がどうも合わなかった。


その他、電報で呼び出されたシーンが気に入りませんでした。
あんなに慌てて、あんなに泣きながら向かったのに、着いてみれば
「あ、なんだ元気じゃん。じゃあ帰ります」っていう感じで、
なんかあっけらかんになってしまいました。
吸っていいよと言われて吸ったタバコも「我慢しろよ」と思ってしまいましたし。

エンドロールも、126分という長めのアニメ映画なんだから、
もうちょっと余韻をうまく演出してほしかったです。さらっと終わっちゃった。

みなさんからも言われていますが主人公の声優も確かに不自然でしたね。完全におじさん声。
あらゆる点でいまひとつ合わなかった。そういうことだと思います。

飛行機への情熱と菜穂子さんへの想いをもっとバランス良く描けていて、
そこから来る二郎さんの葛藤をもっと丁寧に描けていたら高評価だったようにも思います。
残念。
ぬまつ

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