ヨウ

風立ちぬのヨウのレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
4.5
関東大震災後、貧困と失業の閉塞感に包まれる中、やがて戦争へと時代が流れていく日本。欧米列国の技術力に追いつかんと、そして美しい飛行機を創りたいと夢を描いた設計士の若者たちは当時をどう生きたのでしょうか。
薄幸の女性、里見菜穂子との出逢い。そして飛行機製作の先見者、カプローニとの夢の中での出逢いが二郎の心の中に一陣の風を吹かせます。

「飛行機はそれ自体が美しい夢なのだ。
設計家は夢にカタチを与えるのだ。」

作品の時代は異なるものの、東日本大震災後の閉塞感に包まれる現代へそのまま投影される感じを受けました。かつて閉塞感を突き破ろうとして、あの時代の彼らは飛行機製作にその夢を描きました。現代も、彼らと同じ様に夢を見る事は出来るのでしょうか。
「風立ちぬ、いざ生きめやも…」終わらない経済不況や留まらない環境破壊、未曾有の震災や放射能の恐怖… 平穏のタガが徐々に外れ、現代にも不穏の風が立ち始めてきましたが、その中でも必死に生きていかなければなりません。
主題歌の『ひこうき雲』が切実さを帯びて、今でも頭の中で流れています。
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