スガシュウヘイ

風立ちぬのスガシュウヘイのネタバレレビュー・内容・結末

風立ちぬ(2013年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

“私たちには時間がありません。覚悟しています”

切なく、儚い。


空への高い憧れと、戦争と、
恋人への深い愛情と、喪失が、
限られた時間という包みの中で
絶妙に溶け合った、芸術作品だ。


“風景がこれほど美しく見えるのは、私の目を通して節子の魂が見ているからなのだと、私は悟った。
もう明日のない、死んでゆく者の目から眺めた景色だけが本当に美しいと思えるのだった。”
(堀辰雄 『風立ちぬ』)

時間が限られることで、人間の感情はより一層研ぎ澄まされるのかもしれない。



“僕らは今、一日一日をとても大切に生きているんだよ”

二人は相思相愛だ。
だからどうか、「結核患者の前でタバコを吸うなんて最低だ」なんて野暮なことは言わないでほしい。
菜穂子と二郎は、お互いを理解し合っている。その感じが少ない動きの中でよく伝わってくる。

批判されることが多いこのシーン。
改めて、やはり、私は好き。



“空に憧れて
空をかけてゆく
あの子の命は ひこうき雲”
(荒井由美 『ひこうき雲』)


そして、菜穂子は、美しいところだけ、好きな人に見てもらい、ひとり旅立つのだった。
この魂を!
どうか忘れないで。

生きねば!!

公開:2013年
監督:宮崎駿
声優:庵野秀明、西島秀俊、瀧本美織