ちぇるごまる

アンナ・カレーニナのちぇるごまるのレビュー・感想・評価

アンナ・カレーニナ(2012年製作の映画)
3.9
予備知識なしでの鑑賞。
トルストイ原作。

19世紀のロシア、政府高官の妻アンナ・カレーニナはモスクワで妹のフィアンセ候補の若き将校と出会い、禁断の恋に堕ちていく。
非の打ち所がない夫、かわいい息子、経済的にも恵まれた生活を送る彼女の愛欲の暴走。
内に秘めていた女の情熱の爆発。
夫に対し自分の不倫を正当化する彼女は、夫の言葉に耳をかさず将校の子を妊娠する。
そして、何もかも捨て彼とともに生きていく覚悟をしたものの当然のように世間からは疎外され、情緒不安定になった彼女の人生は転落の一途を辿ることに…。
相手を好きというより、相手から好かれている自分が好きな彼女の悲惨な末路。

一方、姉に好きな人を取られ心が傷ついた妹は、以前から自分に好意を示していた階級が下の青年の誠実さに改めて気付かされ周囲から祝福され結婚。
やがて、農作業をする彼との生活は地味ではあるが、優しさに包まれ子どもにも恵まれ幸せに。

姉妹の人生の対比…
どんなことも善悪の判断は所詮他人がジャッジするものではなく自分にしか出来ないもの。
人生は全て自分自身の選択で決まる。
ただ自分が納得出来る人生が、他人に与える影響はそれぞれ…。
終盤、この姉妹の人生…あなたならどちらを選ぶ?と問われている気分になったが、個人的には絶対的に妹の人生を選ぶ。
人間、最終的には人柄だと思うから。
けれども、人間は欲深い生きものだから、私が主人公のように美しく常に煌びやかな生活を送っていたら、もしかして自分も?などと怖く感じた。
深い作品だった。
役者陣・演出・衣装・音楽が素晴らしく、今後機会があれば映画館で再鑑賞したい。
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