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偽りなき者のeulogist2001のネタバレレビュー・内容・結末

偽りなき者(2012年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

子供の小さな嘘から、周りの大人たちがこぞって大きな冤罪を作り上げる。彼らは正義感に満ち溢れ、自分の見方を微塵も疑わない。悪は必ず成敗しなければならない。

こうした恐怖や不安からの単純な見方は日本の社会やマスコミのみならず、世界のあらゆるところに蔓延している。やはりそれは人間の本能なのか。

(日本の場合は、痴漢犯罪がその典型だろう。ある種、弱者たる子供や女性はウソをつかないはずだという誤った正義感に満ちた偏見がそこにはある)

この映画はそうした冤罪をかけられた側の視点で緊迫感たっぷりに描かれる。

観賞後、自分の単純さにも大いに反省しなければならないなと痛感した。
親友のテオの立ち振る舞いが救いだったが、ラストの銃弾は薄気味の悪さが残った。個人的な正義感の延長線上に殺人を許容する事は「私刑」を認める事。法治国家であるなら、断じて許されない。

追記

1990年に一応の結審を観たアメリカのマクマーティン保育園裁判を下敷きにしたものなのかな。
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