よ

偽りなき者のよのネタバレレビュー・内容・結末

偽りなき者(2012年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

主人公が追い詰められていく過程で、自棄に陥り周囲の人間に対して攻撃的な振る舞いを取ってしまう場面がいくつかあったが、ファニーが殺されたことに対する言及を相手側の家族に一切しなかったこと、クララを非難することがなかった、この2点が本当に凄すぎる。ラストで友情を回復させるのもクララとの関係を修復するのも、いずれも主人公側の気分次第だと思うんだけど、虚偽の罪で自分を責めた人間へ赦しを与えているのも凄い。自分なら、ラスト付近の親友が主人公の家を尋ねるシークエンスで、持ってきてくれた食べ物全部ぶちまけて家から追い出してる。

ラストの、誰もが常に標的にされる(誤射される)可能性を携えていることを投げかけるシークエンスは、「1年後…」で弛緩した映画の空気感を一気に引き締めたままエンドロールへと誘ってくれていて、見終えたあとの脳内がまごついたものになった。
ただ、観客を不快な気持ちに陥れるだけの映画で終わってなくて、人間賛歌的な側面も備えているのがデンマークならではだなあと思う。でも、トリアーの映画よりよっぽど不快だった。
よ