takanoひねもすのたり

偽りなき者のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

偽りなき者(2012年製作の映画)
3.9
子供の他愛もない嘘によって、幼児虐待の冤罪をかけられ恋人と破局、地域住人からは嫌がせを受け村八分、人生が破綻してしまう男の話。

主人公ルーカスが孤立無援ではなく息子や狩猟仲間が無実を信じてくれていたのが救い。
子供である故に公正さを欠く周囲の大人の偏見や感情的な行動が一番悪質で怖い。
証拠不十分で不起訴になった後も、住人達は彼を疑い続けるが、元々ルーカスには全く非は無い訳で不当な嫌がらせに真っ当に対抗する姿勢が強い。また嘘を言ってしまったクララを責めない(彼女も悪意があった訳ではない)彼の誠実さと真摯さがよく出ている。
マッツ・ミケルセンの憂い顔がハマり役。

ルーカスの置かれた立場が理不尽過ぎてなかなか消化できずにいたのですが、先日読んだ本に「住んでる地域社会が嘘を信じると証拠があるとか無いとかの問題ではなく、もう悪意だけの問題になる。悪意には証拠は要らない(引用:偽りの楽園」という台詞に巡りあって、ようやくラストが腑に落ちました。