爆裂BOX

ゾンビズ・シティの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ゾンビズ・シティ(2008年製作の映画)
3.5
突然発生した謎のウィルスにより人々はゾンビと化し殆どの人間が死滅する中、首筋にある印を持つ子供達は感染せずゾンビにも襲われない。その中の一人カミーユは母親の最期の言葉を信じて海を目指すが…というストーリー。
珍しいチリ産のゾンビ映画です。ギレルモ・デル・トロが絶賛したそうですが、確かに不幸な境遇の少女が主人公で、どことなく御伽噺の様な雰囲気漂う展開などはデル・トロの好みにドンピシャという感じしますね。
ストーリーは主人公の幼女がたった一人で旅を続けながら軍隊に襲われたり同じ印を持つ子供達と合流したりするという物です。
ゾンビ映画としてはありがちなストーリーですが、始終子供目線で淡々と描いていきます。子供目線でのゾンビロードムービーというのは結構異色ではないでしょうか。
ゾンビは登場しますが、本作のゾンビは大人や軍隊には襲い掛かりますが子供には襲い掛かりません。子供達の脅威になるのは軍隊の方ですね。子供達を捕獲しようとしたり銃撃してきたりします。そんなピンチに陥った所でゾンビが軍隊に襲い掛かるので、本作ではゾンビが救い主の様な扱いです。ゾンビメイクは白塗りですが、印を持つ子供達以外は空気感染するので、ガスマスク取っただけで顔が白くなってゾンビになってしまいます。最初にカミーユがあう女ゾンビは動きが貞子や伽椰子っぽい動きで滅茶苦茶Jホラーの影響受けてて笑えました(笑)ただ、その分他のゾンビ映画には無い不気味さみたいなものもあったかな。人が襲われるシーンはありますが、お食事シーンなどのゴア描写は無いです。
全体的にトーンを抑えたセピア色に近い映像やその中で血の赤は際立ってたりと映像面もイイです。回想シーンでは緑がかった映像になったりと恐らくかなり低予算の作品だと思いますが、映像面では工夫してましたね。
主人公のカミーユ演じた少女も美少女ですし、旅の中で合流していく子供達も素朴な子供らしさ感じさせてくれます。ただ、カミーユ以外の子供達の名前出てこないし、キャラも立ってる子そんなにいないので他の子は印象に残りにくいかな。カミーユが幼い兄妹託された後で合流する二人の子供のうち一人は兵士から奪った銃覚束ない手つきながら構えたりして戦おうとしててちょっと印象に残りました。
ただ、始終子供目線で淡々と進むので流石に単調に感じられる所もあります。似たような回想シーンが何度も挟まれるのもスピード感をなくす原因になってますね。子供が絶対にゾンビに襲われないのも緊張感なくしてるので、寝不足で見たら爆睡しちゃうかも(笑)
団地みたいな所で暮らす子供達と出会って、皆で一緒に公園でブランコ乗ったりして遊ぶシーンはほのぼのとした空気漂いますが、いきなり軍隊の襲撃で子供達が倒れていく展開は結構衝撃的です。前述の様にグロシーンはないけど、軍隊の銃撃で子供がバタバタ殺されるシーンは出てきます。
ラストのオチはビックリです。要するにク○○○ー神話だったんですね。あの首筋の引っ掻き傷みたいな三本の印が○○だったとは。カミーユたちはイ〇〇マ〇人だったのか。個人的にはダーク・ファンタジーっぽさあってありだけど、このオチは許せない人の方が多いかもしれませんね。
エンドロールのニュース映像はちょっと蛇足なきがしました。
グロや恐怖感は殆どなく、子供目線で盛り上がりに欠け、普通のゾンビ映画を期待した人はガッカリする作品だと思います。ただ、淡々としながらも何処か切なさや幻想的な空気漂う所や、映像面など好きな所多い作品ですね。子供達が頑張ってる作品が好きなら楽しめるかもしれません。