エゴヤンがジャンル映画を取ったのは、これが初めてでしょうか?
娯楽映画だからこそ、エゴヤンの本質がよく見える作品かもしれません。
ジャンル映画なのでリラックスしたせいなのか、70年代の早熟な少年のまなざしに戻って、50年代の様式を借りて、楽しんで70年代映画を再構成している様な感じがしました。50年代の再現映画としても70年代の再現映画としても、完成度が高いと思います。
肝心の中身の方は見事にいつもの予定調和のパターンを踏襲していて、『エキゾチカ』を単純化したような内容なのだけれど、これはこれで楽しめました。ラストシーンの風景の緑が、今までの作品より心なしかくすんでいたのが印象的でした。
ケビン・ベーコンは演じ甲斐のあるいい役をもらっているので、彼のファンは必見です。昭和に思春期を過ごして当時のアグレッシブな風潮に違和感を持っていた人にもお勧め。
(日本初公開時劇場鑑賞)