TakahisaHarada

箱入り息子の恋のTakahisaHaradaのレビュー・感想・評価

箱入り息子の恋(2013年製作の映画)
2.8
箱入りで社会との繋がりが薄い健太郎、奈穂子の恋と、なかなか子離れできない2人の両親の葛藤が描かれる。

作り物感満載なわりにコメディにはなってないし、純愛にもなってないし、健太郎の成長を描ききるわけでもないし何を見せられてるんだ…?って感じ。健太郎の大ケガも2回目はただただ引く。
奈穂子のキャラクター(障害、家ではひたすらピアノ弾いてる)とか2人のデートとか、散々現実離れした無垢な描き方をしておいていきなり欲望に素直になるから作り物感に加えて違和感すらあった。2人が同じ大学とか、奈穂子がそれなりに大きくなるまでは目が見えてたとか、距離を縮める要素はあったのにスルーというのも微妙。後半活きてくるカエルの鳴きマネ以外は削られたとかなのかな…。

健太郎の変わり者具合を笑うコメディにはなりそうでならないし、作中何度かある気まずいシーンは本当に気まずいだけだし、面白かったのはナチュラルにやばい健太郎の母ぐらい。奈穂子が盲目だと知って開口一番「遺伝性のものなんでしょうか?」とか、健太郎を見舞いに来た奈穂子に「耳まで悪いの?」とか、デリカシーの無さが驚異的。
終盤の走れメロス+ロミジュリみたいな演出は、急がなきゃいけない必然性、走っていく必然性がなくて、頭が物語から離れて作り手の存在が勝手に想起される最悪の部類の演出だなって感じだった。

天雫家、今井家とも、異性の親の方が我が子を信じられていなくて、より過保護で子離れできないということを描いてたのかなと思う。気まずすぎるお見合いのシーンでも、強情になって争っていたのは健太郎の母と奈穂子の父だったし。