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奇跡のリンゴのbluetokyoのレビュー・感想・評価

奇跡のリンゴ(2013年製作の映画)
3.2
2024年12月8日 21:00~ J:COM 
変人が大発明をして、やったー、ばんざい、めでたし、めでたし、という話かと思っていたが、まったく違った。変人というのだけ合っているが。イノベーションへの道がいかに険しい道のりなのか、ということである。道が険しいだけではなく、周囲から完全にアウェー状態になってしまう。困難に耐えるだけではなく強い意志も必要なのだ。この映画で取り上げているのは無農薬リンゴの栽培である。なんとかゴールにたどり着くまで10年かかっている。もし、9年で諦めていたら、すべては無である。しかも、天啓のような閃きがなければ、10年どころか、もっと、もっと、時間がかかっていたに違いない。
先の国会で石破総理が、答弁だか所信表明だかで「コストダウンからイノベーションへ」と言っていた。コストダウンとイノベーションを軽く同列に考えいてるようだ。もし、同様に、安易に考えている人がいたら、この映画を見て欲しい。イノベーションはかくも難しいのである。

簡単にあらすじ。
主人公の三上秋則は、リンゴ農家に生まれるも機械いじりの好きな変人で、早々にリンゴ栽培に見切りを付けて機械メーカーに就職した。だが、ひょんなことから、リンゴ農家の木村家の婿養子になって、木村美栄子と結婚し、リンゴ農家を継ぐことになった。

あるとき、美栄子が農薬のために皮膚がただれたり寝込むことがあることに気付いた。そこで、無農薬リンゴ栽培に挑むことにした。
最初は、青年会でも無農薬研究会ができて、協力的だった。
だが、無農薬リンゴ栽培は難しく、たちまち、病気が蔓延し、害虫が大量発生した。
秋則は、さまざまな物質を散布してみた。
だが、5年経っても解決のめどは立たなかった。周囲も秋則をバカにするようになり、回覧も回ってこなくなった。

税金の滞納で、リンゴ畑の半分を手放した。トラックもバイクも売り払った。
東京に出稼ぎに行くが、カネを半グレに強奪された。(ここらへんは阿部サダヲさん好演)

そしてついに、自然の森の果樹が、普通に実っていることに気浮き、下草を刈るのを止め、自然の状態にするようにした。
すると、リンゴの木は実を付けた。

もちろん、草ぼうぼうにしたり、野鳥を呼び寄せたりしただけではダメだろうと思う。ほかに害虫を寄せ付けない方法や病気にかからないようにする方法を併用したり、さまざまなノウハウを組み合わせていると思う。
だが、やはり、自然な状態にするというのが根幹にあるのは間違いない。
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