えり

真夏の方程式のえりのレビュー・感想・評価

真夏の方程式(2013年製作の映画)
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前田吟が良いおじさんであり悪い顔をしてくれているから、最後までミステリーとしてみて、めちゃくちゃ泣いた。容疑者Xの献身もそうだったけど、殺される側が圧倒的に悪い人間なんだけど、それでも殺しはダメだし、そこに理不尽さは感じない。ダメなものはダメ。それを証明するかのように、いい人がやる殺しはいい人を苦しめ続けて、隠蔽のために苦しい人殺しを重ねてしまう。この映画もまた、一人の情愛の深い前田吟が論理上完璧な殺人を終えて、そして情愛が残るめちゃくちゃ泣ける。前作との違いは、湯川教授もすべてが正しいと自信を持っているわけではないことを話したこと。背景のひとつに、科学による採掘での環境破壊の反対運動側とそれに応える科学者側がでてきて、湯川教授は今ある考えを提供して、すべてを知った上で自分は何を選択するのか、を説いている。ラストシーンで子どもが自分のやったことはなんだったんだろう?知らなかったことが少しずつ理解できてしまうと自分がやったことが明確になる恐怖を、湯川教授も一緒だと。知っていたら人を不幸にしなかったことも、わからなかったで終わらすのか、きちんと知っていきそしてそのときに自分はどうするのか、無意識にそうしていることがきっとあるけれど、科学者と子どもはそれを意識している、それが責任なのかもしれないと感じた。
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