Inagaquilala

スプリング・ブレイカーズのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

スプリング・ブレイカーズ(2012年製作の映画)
3.8
山内マリコさんの小説「アズミハルコは行方不明」(映画はイマイチだったが)のエピローグで、「武闘派」女子高生たちが観て欣喜雀躍する映画。

大学の春休み(スプリング・ブレイク)に、脱出願望の強い女子大生4人組が、レストラン強盗で資金をつくり、フロリダのセントピーターズバーグに自分探しの旅に出る物語。

「物語」とは書いたが、正直、あまり整然としたストーリーはない。薬物使用で逮捕された彼女たちは、麻薬のディーラーであるエイリアンに助けられ、さらにダークな世界へと足を踏み入れていく。

何度も繰り返される原色の海辺のパーティー映像と印象的なセリフ、彼女たちの水着を強調した色彩設計、絶妙のアングルでとらえたヴィヴィッドな映像、まるで全編ミュージック・ビデオを見ているような展開は、妙に自分には心地よい。

ストーリーにさしたる仕掛けもサプライズもないのだが、この映像を見ているだけで満足してしまう。映画がひとつの世界観の提示であるならば、この作品のなかには間違いなくそれがある。

脱出願望、自分探しの行き着く果てはどうなるのか。女子大生4人組は、この太陽の下でのパーティーの日々で新たな自分を見出していくのだが、それもつかの間。ラストはどうなるかと気を揉んでいたが、気持ち半分だが、自分としてはある程度納得いく終わり方でひと安心。「アズミハルコ〜」の武闘派女子高生たちも、このラストに喝采したにちがいない。
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