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さよなら渓谷のemilyのレビュー・感想・評価

さよなら渓谷(2013年製作の映画)
3.2
とある渓谷で幼児殺人事件が起こった。幼児の母親が犯人として逮捕されるが、隣の家に住む尾崎俊介との不倫疑惑が持ち上がり、その内縁の妻カナコも夫が不倫していたような証言をする。俊介について調べていた新聞記者がたどり着いたのは15年前のいたましいレイプ事件だった。

全く別の事件から、過去の事件が浮かび上がってくる描き方がすごく面白い。そこまでたどりつく過程も無駄なく、淡々と描かれるので、感情移入しにくい設定ではあるものの、主人公の心情を自分なりに解釈しつつストーリーが展開していくので、ひきこまれる。

シンプルすぎる家だったり、のっぺりとした表情や性交渉を重ねるだけの関係。言葉少ない夫婦間の偽善の上に成り立つ関係性の描写は痛々しく、無言の駆け引きがひりひりと痛みを伝える。

若気の至りが人生を狂わす。過去を背負って生きていくことがどうゆうことなのか、さらにつらい道を選択することで、その痛みを感じることで生きていける・・だから幸せになる道を選べない。両極端なものは常に背中合わせで、紙一重。
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