まさに観客を選ぶ映画。
なぜこーなっている?という隙もなく既にそこに堂々とある設定が清々しくて良い。
博学的で冷静沈着な綾野剛は、そりゃあ皆惚れてしまうだろ、という位男前に描かれ、対する黒木華は地味で母性のある女性で、マリア様のようだった。
研究所というシチュエーションだが、ここまで地味な人しか出てこないかと。映画の雰囲気作りとしては最高だが。でも、そのおかげで山下リオが狂うシーンでの、あの急にハネた感じが引き立ったとも思う。
暗闇から光に出てゆく、後半の展開はまんま『生きてるものはいないのか』のような気も。文明的な終点に辿り着くのが石井の最近の傾向なのか。