マグロ

裁判長のマグロのレビュー・感想・評価

裁判長(1918年製作の映画)
3.8
【フラッシュバックによる入れ子構造】

カール・ドライヤーの監督デビュー作。
一族の罪と償いをテーマとしたメロドラマ。

父親のフランツ・ヴィクトルは由緒ある家柄にもかかわらず、平民主人公の娘を妻にする。後悔した彼は遺言として息子のカールに身分の合わない者と結婚してはならないと告げる。しかし、成長し裁判官となったカールもまた平民の娘に恋をしてしまうが、親類によって別れさせられる。
しかし娘の腹にはカールとの子ヴィクトリーヌが宿っていた。ひたすら見て見ぬふりをしていた彼だったが、ヴィクトリーヌが子殺しの罪で起訴されてしまう。
カールは自らが犯した罪に直面することになる…。

本筋のヴィクトリーヌの裁判に、父親とカールとヴィクトリーヌの回想をそれぞれ挟むことで時勢が縦横無尽に描かれる。
コテコテのメロドラマの中に、ドライヤーの反骨精神と女性信仰が既に見て取れるのが面白い。
マグロ

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