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命ある限りのBaadのレビュー・感想・評価

命ある限り(2012年製作の映画)
5.0
ボリウッド4の一本として、軽い気持ちで見たこの映画ですが、オープニングのシャー・ルク・カーンのボイスオーバーで既にノックアウト。
メロドラマの巨匠ヤッシュ・チョープラさんの遺作だったのですね。

これは、幸福な愛を成就させるために、障害をどう乗り越えるかという普通のラブストーリーであると同時に、ボリウッド映画のすべての文脈を駆使して練り上げた究極のメロドラマでもありました。

見て気がついただけでも、ハリウッド映画、古典的なヒンディー語映画、ボリウッド映画、タミル語映画、イラン古典文学などさまざまな媒体で語られた愛の物語とそれを語る手法を練り上げて今の世界の現実の中で、現代人の心にも届くようなラブストーリーを作り上げることに見事に成功しています。

恋愛映画としての面白さ、語り口の上手さは息子のアディティヤ・チョプラの『DDLJラブゲット大作戦』などには少し及ばないかな、という気はしましたが究極の愛の物語を人生の最後に作りたいという気迫には圧倒されました。

長くなるので自己レスに書きましたが、メロドラマはメッセージを載せる媒体としても使い出があるな、と感じさせる作品でもありました。

ただ、この人しかいないはまり役なのだと理解は出来るものの、主演のカトリーナ・カイフのダンスシーンがたまたまぽっちゃりしていた時期だったためかかっこよさが今ひとつだったところ、ラストの衣装が意味不明だったところ、ミュージカルなのに音楽がさほど記憶に残らなかった、などの部分が少し気になりました。

もう一人の主演女優、アヌシュカ・シャルマは親しみやすい少し地味な美貌ですが、演技・ダンスともにすばらしく、ほかの出演作も見たくなりました。

(ありふれた、そして究極の愛の物語 2013/5/24記)

付記:ボリウッドの恋愛映画のお手本のようなヤッシュ・チョープラ監督の遺作。この映画を見て、グル・ダットの映画はボリウッド映画なんだということに今更のように気づいた。作詞担当のグルザールは多分三言語以上を駆使して物語を紡いでいるが、これはボリウッド映画では特に珍しいことではない。この映画でボリウッドのメロドラマの奥の深さを知り、すっかり虜になりました。アヌーシュカのファンにもなりました。(2014/1/6)

なお、コメント欄にも見た直後のコメントを書いてあります。
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