takanoひねもすのたり

幸福の罪のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

幸福の罪(2011年製作の映画)
3.7
原題のInnocence(無罪、潔白)は皮肉かな。
結局はゲスい男の話。

リハビリ医のトマシュは突然14歳の少女オリンカへの性的虐待容疑で逮捕される。証拠は少女の日記とメールの内容。
容疑を否定するトマシュだったが…という話なのですが、捻りが入っていて後半は予想しないところへ着地します。
事件を通して家族、夫婦、姉妹関係の中に隠された秘密が描かれてゆく少し変則的なミステリー+人間ドラマ。

家族関係はトマシュと妻ミラダと娘テレザ、ミラダの前夫とのダウン症の息子ダニー、ミラダの父親と妹リダの6人家族。トマシュは入婿。
ミラダの前夫はラダといい、トマシュの事件の担当刑事です。
かつてラダとトマシュは友人同士でしたが、彼から妻子を奪ってミラダと結婚しています。
何だこのややこしく気まずい関係は…😅

オリンカへの性的虐待疑惑が、家族へ波紋を広げるのですが、個々で闇を抱えているんですね。
ミラダはトマシュのメールを盗み見しそこに書かれた内容に動揺を隠せない。
娘のテレザはダニーを嫌い、リダは父親から蔑まれている…一見幸せそうなエリート家族ですが、危うい均衡で保たれてることが後半で明らかになってくる。
その展開が巧みで、ぐいぐいと観てしまいました。

そしてラストが静かに怖い。
「偽りなき者」と扱う題材は同じですが、着地は全く違います。
重いけれど、見応えのある作品でした。