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狂武蔵のrollinのレビュー・感想・評価

狂武蔵(2020年製作の映画)
3.5
これバガボンドで習ったとこや!

宮本武蔵が吉岡一門と斬り合いまくる例の一乗寺下り松〝ぬたあん〟シーンの実写化でございます。武蔵がシグルイとして覚醒する本エピソードは、殺陣アクション映画に於ける究極の舞台設定だと思うし、この死闘を長回しで描くという覚悟にも大いにエールを送りたいでござる。

で、実際完成したものがどうだったかと言うと、昔ガキ使の企画で現・月亭方正がトライした『山の石松100人斬り』マラソンをガチでやってみた!です。製作過程は承知の上ですが、特に斬られ役の立ち回りや演技力のバラつきに関して流石にやべぇ!と思う瞬間が何度かありました。武蔵の刀ちょん!で断末魔をあげて退場&即リスポンする様子には正直ワロテまいます。本当はもっとツッコミたいですけど、大学の先輩が斬られ役で出演しているので控えます。

ただしこの映画の本質はそこにはなく、武蔵を演じた坂口拓が山ちゃんのたどり着けなかった境地へと、少なくとも映画内では達しているように見えることだと思う。肩で息をして、足取りもおぼつかなくなりつつも、やがて整っていく武蔵。
恥も外聞も捨て、互いに死合いを重ねた武蔵と吉岡一門の姿は、そのまま劇中の坂口拓と製作陣の姿に重なります。「あ、今のちょっとミスったかも」「絶対コレNGやん」といった気の迷いを超えた先にある、殺り斬ったる!という覚悟。その気迫がビンビンに感じ取られるだけで観る価値はありました。縛りから解放されたラストのカッコよさは言うまでもなし!

前に水戸黄門の撮影に参加していた友人から聞いた話では、同作の終了とともにこの国で培われてきた時代劇のノウハウは決定的に断絶してしまったとのこと。だからこそ今作のような映画を作る誉れ高き人たちの情熱には反応していきたい。

という訳で、空前絶後のサムライ神ゲー『ゴースト・オブ・ツシマ』、みんなプレイしてくれよな!!
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