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サウンド・オブ・ノイズのnekosukiのレビュー・感想・評価

サウンド・オブ・ノイズ(2010年製作の映画)
3.5
“第23回#みんかい"作品。
reeさん、選定ありがとうございます☺️
運良く未見でした‼️

個人的に音楽に優劣を付けるのは好きじゃないし、それぞれが好きなジャンルの音楽を楽しめば良いと思う質です。

なので、音楽テロ集団の女性が呟く『町中に溢れるクソみたいな音楽』という台詞には抵抗がありました。

個人的に常に音楽に触れていたいので大抵の音楽は受け入れますが洋楽が溢れる土地柄なので、そちらに傾倒しているかもしれません。

「サウンド・オブ・ノイズ」は少々前衛的でシュールな作品。カルト的な人気があるそうで、これまで出会わなかったことが不思議でした。

物語は音楽を使ったテロ集団がいて、それを音痴の刑事が捜査するもの。
彼は音楽一家に生まれながら音楽の才能に恵まれていません。皮肉なことに名前は“アマデウス"。

至るところで噴出する音楽。手術室で患者を打楽器にしたり医療機器を使って演奏するのは不謹慎ではないのか?
突っ込みどころ満載です。

若い頃、この作品のような奇妙な味(?)の作品に惹かれて好んで観ていた私。
久しぶりに、懐かしい気分になりました。

手を変え品を変え、音楽によるテロを繰り返す集団。銀行でシューレッダーで紙幣を裁断したりゴム印や電卓、全てが楽器になるのですね。電卓にはSHARPのロゴが…

極めつけはコンサート会場の前でショベルカーや掘削機を使って不協和音をたてる暴挙に出るシーン。警察が出動して大騒動に。

サウンドとノイズは紙一重。
送電線にぶら下がる黒づくめの集団はブレイカーを落とし、街は一瞬漆黒の闇に。
果たして、音痴刑事はこの危機をどう乗り越えるのか?気になります。

実は彼(アマデウス)、音楽が嫌いで静寂を求めていました。静寂の中の音楽。なるほど。
嫌煙権があるように、静寂を求める権利もあっていい!当然です。

すったもんだの挙げ句、刑事の活躍もあって音楽好きのテロリスト達も最後は翼をもがれた鳥のように落ち着くべきところに落ち着くのです。(このラストがこの作品中最も凡庸)

ある意味ユニークな作品で賛否は分かれるでしょうがハマる人にはハマる麻薬的な味わいを感じました。
優秀な脚本が枯渇している映画界ですが、ともかく発想の斬新さには一票あげたい!

脳天を突き抜ける不快な音に目をつぶり、音楽を愛する人も、そうでない人も
映画の可能性を知るきっかけになればと願います。
私はと言えば、鑑賞後いろんな意味で『なかなか、深いなー』と思ったのでした。
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