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スタイルウォーズの夜のレビュー・感想・評価

スタイルウォーズ(1983年製作の映画)
4.0
完全に「イグジットスルーザギフトショップ(2011)」と「God Speed You Black Emperor(1976)」だった。
前者はバンクシー(ティエリー)がグラフィックアーティストたちの作品や活動風景を映像に収めたもので、後者は柳町光男監督が暴走族のブラック・エンペラーに属する少年たちの日常を撮ったドキュメンタリー。どちらも大傑作。
1980年のニューヨーク、ブロンクス地区は貧困と犯罪が蔓延するエリア。ここで生まれた4つの文化、「グラフィティ」「ブレイキン」「ラップ」「DJ」が40年の時を経てこんなに世界中の人に愛されカルチャーになるとは当時のアーティストたちは思ってもみなかっただろう。
これらの文化の始まりは全て、自分たちがこの街の片隅に存在していることをアピールする手段だった。そして彼らが世界と繋がる唯一の手段でもあった。承認欲求のない自己主張、自己表現。自分のスタイルを確立し、一番カッコよくなること、最強のキングになること。目指すのはそれだけ。
実際に見る当時のグラフィティはサイケデリックなほど色彩激しいのに、細部へのこだわりに溢れていてとても楽しい。翌日には他のグラフィティで塗り潰されていたり、役所の人に洗剤で落とされる儚い作品。「落書き」と「アート」の区別についても触れられているが現代もその答えはない。
あと日本劇場初公開、観れて良かった 。登場人物がみんな後に成功を修めているのもすごい。価値ある歴史的資料。
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