OASIS

マレフィセントのOASISのレビュー・感想・評価

マレフィセント(2014年製作の映画)
3.0
「眠れる森の美女」を敵役マレフィセントの視点から描いた映画。
主演であるアンジェリーナ・ジョリーの頬が凄い事になっていた。

3D字幕版。
歴史に名を残す英雄譚も別の側面からみれば悲劇の物語に変わる事があるが、これはただ過去の名作を実写化したものではなくて、完全に別次元のものだろう(語り部があの人という点からして)。

一応「眠れる森の美女」を復習していったのだが、それがかえって良くなかった。
アニメーションの中だとあれだけお茶目に見えた王様や王子といったキャラクターが、実写化した途端に人間の欲深さを露わにして完全に悪役と成り下がっているではないか。
16年も離れていてやっと再開した実の娘に対する扱いが酷過ぎる。
王様をシャールト・コプリーが演じているものだからこれまた一層醜さが引き立つ。
三匹の妖精たちも、子育てが得意ではなく役に立っているのか立っていないのか曖昧に描かれているし、オーロラ姫側のキャラクターがとことん薄っぺらく描かれていた。

そんな中、マレフィセントが実はオーロラを影から見守っていたという後付け的設定でアンジェリーナ・ジョリーとエル・ファニングが仲良くなっていく姿は、エルの眩しい笑顔の甲斐もあって悪役であるはずのアンジーに何処までも感情移入させてくる。
森の小屋に隠れた途端にすぐ見つかってしまうので、初めから2人の距離が近すぎる気もしたが。

アニメ版ではそもそもマレフィセント自体が過去を想像させず同情の余地すら無い徹底的な悪役として描かれていたので、いきなり良い奴だと言われても慣れるのには相当な時間がかかる。
これから観る人はアニメ版を全く観ずに見た方が余計な考えが浮かぶ事なく観れるんじゃないでしょうか。

結末に関してもやはり国王側からすればバッドエンドで、「真実の愛のキス」の役目がマレフィセントと王様との間にも欲しかった所。
結局彼女が悪役にならざるを得なかった経緯が国王もろとも何処かに飛んでいってしまった様な残念感がありました。

CG技術は実写との融合具合が判別出来ないくらい美しくリアルで、妖精たちの顔も人間と区別がつかない程違和感が無かったです。
ただ、3Dの意味はあまり感じられなかったかな。
エル・ファニングの笑顔もさる事ながら、マレフィセントの子供時代を演じた女の子がめちゃくちゃ可愛くて頭から離れません。

@TOHOシネマズ梅田
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