かおり

ローマの教室で 我らの佳き日々のかおりのレビュー・感想・評価

3.8
邦題も良いと思うけど、内容的には原題を念頭に置いて観たほうがしっくりくるかな。ロッソ エ ブルー、つまり赤と青。

新米教師とベテラン無気力教師、
奮闘する教師と冷ややかな生徒、
情熱的な女性と冷静な男性、
それぞれの対比は赤と青。

起承転結ははっきりしていない。
伏線の回収もしない。
(回収されない伏線を伏線と呼んでいいのだろうか)

でも、そんなイタリア映画が好きだなぁと思う。

日本の学園ものといえば、多くが先生が生徒を啓蒙する形式か、生徒の懸命さに先生が胸打たれる形式か。
でも現実の先生って、そんなに完璧じゃないと思うんだ。スーパーマンでは決してない。
そして生徒だって、そんなまとめてみんなが言うこと聞くわけないし。

だから先生らしい先生じゃなくても、ものわかりの悪い生徒でも、お互いが人間として素直にぶつかりあえればそれでいいんだ。それが学校の価値なんだ。
社会に出ると、素直にはいられない場面が増えてくるから。それから相手が本心でものを言ってくれるとも限らないし。

美術史の先生のあの授業、素晴らしかったな。
日本の勉強やテストは本当に暗記式なんだねぇ。年号や単語よりも、自分がなにを考えてどう表現できるか。それが採点基準になっているイタリアの教育っていいなぁ。もちろん悪い点もあるだろうけど。

歌手や俳優のインタビューなんか一つとっても、イタリア人ってほんとよく喋る。伝えたいことが胸の中に溢れていて、どうにか言葉にして紡ぎ出している感じ。
日本ではどちらかというと、伝えたいことは作品で語っているから読み取ってくださいというスタンスの人が多いイメージ。

こんなことを淡々と考えながら観た映画でした。空白のある映画もいいなぁ。
かおり

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