ちいさな泥棒

赤い航路のちいさな泥棒のレビュー・感想・評価

赤い航路(1992年製作の映画)
3.0
倦怠期の夫婦が愛を確かめるためクルーズ旅に出るが倒錯した夫婦に出会い翻弄されるいびつな愛憎物語。長いけどいかにもポランスキーらしくて一気見。早口で投げやりなバースデーソング最高すぎて声出して笑ってしまった。ビシッとキメた真面目そうな人の下に隠れているものを刺激する作品、好きです。

危ないとわかりつつ赤信号の先が知りたくて心と身体が求めて漂うこの感じなんかでも感じたなって浮かんだのがクローネンバーグの作品、特に『エム・バタフライ』を観た時の感覚に似てた。振り返れば都合のいい幻を愛して一時の情熱で突っ走った挙げ句翻弄され残酷で悲惨な末路を辿るお話。

ギャラガー兄弟ですって言っても納得しちゃうような眉毛の垢抜けない芋男なヒュー・グラントが下心丸出しで翻弄される姿は悦。キスシーンであんなに糸ひいてるのも糸切ろうとして失敗してるのもはじめて見た(ポランスキーのガッツポーズが見える)"誠"ってクッションは意味わかってて使ったんだろうか…

エマニュエル・セニエはさすがですね。もうひとりだけエンジンが違う感じでダンスも上手。あの人だからこそポランスキーの奥さんつとまってるよなと毎回思います。『ポランスキーの欲望の館』では美人なヒロインに「あの不潔でチビな男は?」って何回も言わせてたりずーーっとブレないから気持ちいい。

X-MENアポカリプスでクイックシルバーがプロフェッサー邸から生徒を助けだすシーンで使われてた曲が使われてて、この曲ってこんな古いやつだったんだってはじめて知って改めて好きになりました。背が高そうなオレンジのベビーショートの女性が真っ赤な口紅塗って歌っててめっちゃカッコいい。