ゾンビ映画にはあまり興味を持てないのですが、本作はラブストーリーだということで、本当かよと鑑賞しました。
ふーむ、ゾンビが主人公で、こんなに甘くできるものなんですね。
ロミオとジュリエットを下敷きにしているとのことで、基本的なストーリーは、敵対する勢力に属する男女の恋愛です。
そこにゾンビが投入されることで、異種族間恋愛や、その他の要素も入っていて、ベーシックな物語にちょっとしたデコレーションが施してある、といった感じの作品になっていたと思います。
いくら元がニコラス・ホルトとはいえ、ゾンビにキュンとなるんだろうかと疑ってかかってましたが、片言で、俊敏に動けない主人公・Rが、献身的にヒロイン・ジュリーに尽くし、彼女を守ろうとするところを見てると、なんだか健気で可愛く見えてくるから不思議です。
また、異種族を目の前にしたとき、当然「おぞましい」と思っちゃうはずだからこそ、その壁を乗り越えるほど深い愛なんだろうなと思わせる、異種族間恋愛というジャンルの特長もわかって、なかなか興味深かったです。
二人の恋愛が、それぞれが所属する組織体同士の和解に繋がっていくところも原典に沿っていますが、その和解が二人の死と引き換え、という悲劇的な原典と違い、こちらはハッピーエンドと言っていい終わり方なので、サクッと見られるラブストーリーだと思います。
終末感や、道ならぬ恋という取り合わせが、ティーン向けっぽいなーと思ったりはしますが、まあ、つまりは、間口の広い作品ということでしょうし。
ゾンビというジャンルに、一般的な映画ファンを惹き付ける魅力がどれだけあるのかわかりませんが、ちょっと変わったラブストーリーを見たいときには、いい作品かもしれません。