ninjiro

男組 少年刑務所のninjiroのレビュー・感想・評価

男組 少年刑務所(1976年製作の映画)
1.1
え〜?繋がってるの〜〜??
出演者も違うし、当然別物だと思ってたら実は'75年作「男組」のラストから一応話が繋がっていて、それが何よりまず一番の驚きだった。
厳密に本作が'75年作(以下「前作」と称する)の正式な続編として制作されたかといえば、恐らくそうではあるまい。続編制作する気マンマンだった前作の終幕から本作の間にあるのは、推察するに至極シンプルな大人の事情であって、仮に前作が成功していれば本作はこのままの形では産まれてはいなかったであろう。
とはいえ、この出演者の総とっかえ具合の大胆さは凄い。何しろ前作を引き継いだ同じ出演者を探す方が難しいレベルである。
そこからも、本作が飽くまで続編ではなく、前作を完全に亡き者にした上での「仕切り直し」であるという事情が窺い知れる。
前作であれ程好演し、個人的には前作の少ない美点の大きな部分を占めていた星正人はあっさり退場し、その主役の座に取って代わって収まったのは、なんとこれが銀幕デビューとなる舘ひろしである。
今でこそ、その佇まいと湛える「雰囲気」により紛う方なきダンディ俳優として活躍なさっている舘さんであるが、元よりその演技力には疑問符が付きまとってきたことを囁かれもしないのに勝手になんとなく察してきた世代の子供としては、このデビュー作で与えられたセリフの異常なまでの少なさをこれまた黙って察するしかない。
それにしても、流石にその佇まいだけでなんとかしようとする力技も限界がある。もうファーストシーンからずーっとその力み過ぎの下手な歌舞伎のような睨み演技が最後まで続くとあっては、観ているこちらとしては地獄である。怖いよ〜。
星正人が前作で格闘演舞の真似事ぐらいまでは十分に達したレベルのアクションをこなしていたのに対し、そこはガチのストリートファイト経験は豊富そうな館さん、本来あるべき「拳法」などそっちのけで結構なラフファイトで雑魚敵をなぎ倒すことで解決!もうキャラ変わってもうてるやん。

舘さんばっかりイジっては申し訳ない(そうは言っても舘さんのこと好きなんです)。
というより、演出全体に於いて本作の怪作ぶりはなかなかのものである。
前作が意外と生真面目な作りであったための反動か、今作のこの壊れっぷりは、「壊滅的」と表現してもいいかも知れない。何しろ劇画原作を読了した立場からしても、想像力をそれなりに働かせることなくして全体の筋が追えない程物語を紡ぐことを放棄しているからである。
エピソード前後の繋がりなど全く考慮されていない。ただコラージュのように原作の目立つエピソードをおおよその時系列に沿って貼り付けて時間を埋めたという印象ばかりの雑さである。
何の前触れも約束もなく、いきなりアメフトの試合が始まった時には腰が抜けそうになった。

「不良番長」シリーズのような開き直りがもたらす意識的な混乱ではない、ここには「子供騙し」という悪しき商法の見本のようなやっつけ意識が産んだ根の深い天然のカオスが渦巻いている。

そして最後の対決もグダグダ!
よく見たら五家宝連全員クールスかよ!
ninjiro

ninjiro