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世紀の光のbennoのレビュー・感想・評価

世紀の光(2006年製作の映画)
4.0
久しぶりのアピチャッポン!! 4作品目

いつも通りエナドリと共に鑑賞です。

OPで会話の声だけが永遠と聞こえる中、カメラは緑美しい田園風景をこれでもかのフィックス長回し…ただそれだけでもずっと観ていられるアピチャッポン・マジック…映像に吸い込まれます。

今作はとても不思議なストーリーの2部構成

前半は地方の自然美溢れる中の長閑な病院…
後半は近代的で無機質な真っ白い都会の病院…

登場人物もほぼ同じで、同じようなエピソードを反復します…デジャヴのような、夢を見ているような…心地よい微睡みを彷徨います。

それが過去と現在の境界なのか…将又、仏教国特有の輪廻転生…前世と現世なのか?? 時空を超えた反復のようであり、しかし完全に同一には重ならない世界

危うい記憶のような定義のできない世界がそこにあります。

カメラワークも比較的前半はゆっくり、固定が多いですが…後半は動きが目立ちます…そしてストーリー自体も女性視点から男性視点へと分岐

光、環境音、自然美は絶品…特に日食のダイヤモンドリングは(ღ˘◡˘ற)‧⁺⁎ウットリ♡

都会の病院の地下では怪しいスピリチュアルな治療が…同監督の《光の墓》を彷彿としますが…タイでは化学治療とは別にスピリチュアルな治療も伝統治療として広く認知されているよう…

ただ、施術を行うおばちゃんが義足からお酒のボトルを出して飲んだりとファンキー…もうひとりはず〰︎っとカメラ目線で怖っს…ここは笑いどころ?? …そしてブラックホールのような排気ダクトの長回し…微妙にシュールなシーンもゆる〰︎く現れます。



生命はその時その時の一瞬にしか存在を感じ取れませんが…過去に自分自身が存在したと実感出来る証…それは《記憶》そのもの…

危うくて言葉ではうまく説明できなくて…遠く忘れてしまったものや、いなくなってしまった人のそばに、もう一度手繰り寄せてくれるような、そんな心地よい《微睡み》を魅せてくれます…ちょっぴり(ꈍ.ꈍ) ƶƶz‎


そしてエンディングは強烈!!

《微睡み》から、一気に覚醒(๑'o'๑)۶スッキリ⸝⋆⸝⋆
ポップな口笛が頭の中をループします。


ゲリンやペドロ・コスタの系譜の監督さんなので…広くおススメはしません…興味のある方は是非…ෆ*
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