ドランの沼にハマってる。
もうこの映画はロランス、ロランス、ロランスってかんじで、どこを切ってもロランスの色香がつきまとう。
ロランスのあの告白があってから、恋人フレッドの人生にはただ、深い愛情によるそれを受入れたい想いと、頑ななまでも受け入れられない本当の心による激しい葛藤ばかりがつづく。あるときのカフェで詮索好きな女店主相手にぶちまけた感情がそのすべてを物語っていた。
ドランの映画にはひとの生身の感情をぶつけ合う場面が多く、そこから漂う人間臭が酷く憐れで醜くもあり、しかし、そういったシーンから人間の本質をあばこうとする彼の真の試みが感じられ、人がぶつかり、もがきながらも前へ進もうとする人間のポジティブなエネルギーが伝わるのだ。
そう、前へ進むこと___それがいつもあるから、彼の作品が好きなのだ。ロランスもフレッドもそれぞれの道を進むために切り捨てるものを切り捨て、そして昔に背を向け旅立って行く。
その後姿___このダンディズム感が実にたまらない…。
1番好きなのが最後のシーンで、何度も見返した。ここのとこで観ている方の胸にもジワジワと温かいものがこみ上げてくるから、これで一気に映画の完成度が上がるなと思うのである。