Yukiko

火垂るの墓のYukikoのレビュー・感想・評価

火垂るの墓(2008年製作の映画)
3.0
2016年8月10日 NHKBS放送
『火垂るの墓』
この映画は野坂昭如さんの体験が元らしい。
自分の妹(実際は養子で血は繋がってない)を餓死させた、
せめて作品の中では妹思いのいい兄でいたい……
の話らしい。

ジブリにもこの映画があり、私自身はジブリの方が好きだ。
むごい場面でも、アニメだと救われるような気がする。

こちらの映画では、それほどのむごさは感じられないが、
親戚の叔母役の松坂慶子さんが意地悪な?役とされている。
が、実際こういうことは現実に有りうるだろうなと
思うようなことなので、意地悪?とは違う。

ラストの雨の中、地面に寝てしまった主人公の、
けれども雨が止み、起き上がって歩き出す、そこに
希望が見出だせる。

以下、野坂昭如さんの文面から。

一年四ヶ月の妹の、母となり父のかわりつとめることは、ぼくにはできず、それはたしかに、蚊帳の中に蛍をはなち、他に何も心まぎらわせるもののない妹に、せめてもの思いやりだったし、泣けば、深夜におぶって表を歩き、夜風に当て、汗疹と、虱で妹の肌はまだらに色どられ、海で水浴させたこともある。(中略)ぼくはせめて、小説「火垂るの墓」にでてくる兄ほどに、妹をかわいがってやればよかったと、今になって、その無残な骨と皮の死にざまを、くやむ気持が強く、小説中の清太に、その想いを託したのだ。ぼくはあんなにやさしくはなかった。

— 野坂昭如「私の小説から 火垂るの墓」[4]
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