OASIS

危険なプロットのOASISのレビュー・感想・評価

危険なプロット(2012年製作の映画)
3.8
作家の夢を諦めた国語教師が、一人の生徒が書いた作文に心を惹かれ、彼に文章の書き方や人間観察の方法などの個人授業をしているうちにどんどんエスカレートしていくという話。
監督は「スイミング・プール」等のフランソワ・オゾン。

他人の生活を覗き見てみたいという欲求は誰しも少なからずあるもので、そんな危ない欲求が高まっていく様子が夢に挫折した国語教師の目を通して描かれている。
教師=観客の目線で「もっと知りたい」「もっと先が見てみたい」という気持ちが前に出て、気づかない内に踏み入れては行けない場所まで達してしまうようなゾワっとするサスペンス的な恐怖の積み重ねが秀逸。
そして、いつの間にか前のめりに観てしまっていた観客に向けて見せられる「大量の窓」に込められた皮肉にまんまとヤラれた。
何の変哲も無い物語も、私達の興味や欲望によってあらぬ方向へと変えられてしまうというメタ構造にまで到達するとは思いませんでした。

青年役のエルンスト・ウンハウアーは「少年は残酷な弓を射る」のエズラ・ミラーの様な怪しい魅力でこれから映画に引っ張りだこの予感。
OASIS

OASIS