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親密さのsonozyのレビュー・感想・評価

親密さ(2012年製作の映画)
4.5
映画・演劇の専門学校ENBUゼミナールで講師をつとめた濱口竜介さんが、俳優を志願する学生たちの卒業制作として監督/脚本。
舞台劇『親密さ』の本番までを追う前半、実際の公演の後半。そしてエピローグ。という構成の4時間超えの作品。

前半では演出・構成を担当する二人、令子(平野鈴)と良平/リョウ(佐藤亮)及びメンバーの感情の交錯。
2人1組の対面インタビュー(あなたは私ではないですか?)、「戦争」についてのディスカッション、「恐怖について」の講義など、興味深い内容。

前半の最後は令子とリョウが夜が明けるまで二人で歩く長回し。
令子に文章を褒められたリョウが「夜=深いとこに落ちてるのを拾ってきた。だから俺の言葉じゃないんだ。それを並び直してるだけだ。」と語り、令子が「言葉のダイヤグラム。・・言葉は想像力を運ぶ電車です。・・」と詩を詠むシーンも最高。

そして、後半の実際の公演は、演出: 平野鈴、構成/美術/劇中詩「花火」: 佐藤亮。主人公二人によるもの。

朗読会「北の詩人たち」で、語られる詩と、演者の皆さんが前半とは見違える魅力。
舞台演出も素晴らしい。

性同一性障害の悦子(香取あき)の詩『質問』、『合理的な魂』。
リョウ(佐藤亮)演じる衛の詩『花火』そして感情を爆発させる『暴力と選択』。
二人が読み上げる詩に心動かされます。

実は衛の妹だった佳代子役の伊藤綾子。
客席で見つめる令子(平野鈴)。
岡本英之さんの歌声。

そして意外な姿で登場するリョウと令子の再会からのラストも最高。

濱口竜介監督の凄さを改めて感じました。
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