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新しき世界のTAのレビュー・感想・評価

新しき世界(2013年製作の映画)
4.5
チョンチョンの死際の「もし、俺が生きてたら、俺の事を許せるか?」
は、深すぎた、、。

チョンチョンは主人公が潜入捜査官と分かっていながらも、兄弟の同僚を殺してしまった事を悔いての発言だったのだろう。

組織の掟よりも、兄弟の絆を優先したチョンチョン。


潜入捜査官とわかっていながらも殺せなかった。本来、潜入捜査官なら、即殺しが掟のはず。


そして、主人公は警官にも関わらず、最後にはチョンチョンの想いに打たれ完全にヤクザになってしまう。

義兄弟の絆を描いた作品。


私利私欲が渦巻く裏社会、権力社会で、絆を何よりも大切にする世界こそが、新しい世界なんだというメッセージ。
(本来はこれが元の世界だと思うのだが、欲で変わり切った裏社会には、これが新しい世界という事なのだろうか?)
途中までは、潜入捜査官のままでヤクザのトップに立ち、世の中を治める社会=新しい世界というオチかなと思っていました。


囲碁の先生が死ぬ前に残した最後の一言「煙草は辞めて下さい」を守るカン課長と、上司にこの件が終わったら辞表を受け入れてくれというシーンに師弟愛を感じた。
ドライで任務最優先に見えるカン課長の、大事な部下を殺してしまったという自責の念を感じずにいられない。


どれだけ頭が切れようと、昇進しようと、
結局人生は愛だという所をえぐり出して表現してくれる。


特にこういうドライ、ハードボイルド系の映画は、絆や愛をセリフとして言わずに、ストーリーのみで表現する所が渋くて大好きだ。

クサイセリフ回しがなく、言わぬが花という美しさがある。言わなくてもわかるだろ?みたいなビターな味わい。


だから、裏社会映画を観るのをやめられないんやろなぁ。
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