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新しき世界のtakatoのレビュー・感想・評価

新しき世界(2013年製作の映画)
4.4
 流石の韓国ヤクザ映画。奇妙なことに自分の大好きなSF小説「マルドゥックヴェロシティ」の終盤の大好きな感覚を覚える映画に出会えるとは!。

 「インフェナル・アウェア」のようなヤクザに潜入している捜査官の苦悩ものとして進行する終盤まではそれほど面白いとは思わなかったが、そっから先の展開は見事!。「マルドゥックヴェロシティ」の主人公も終盤に極限の矛盾葛藤の場に置かれ、恐るべき回答に到達する。悪魔が、いや運命が主人公の耳に啓示を与える。その果てに待っている惨劇の全てがハッキリと見える。しかし、完璧なマシーンのように冷静に、間違うことなく自分が実行することがわかる。恐怖ではなく、歓喜。遂に自分は運命の軌跡に乗った。その果てにある物も同じ。ここに同作のラスト辺りを引用。

止まらず歩き続けた。
かつて生き残るために訪れた街へ。
失われたものと、決して失われなかったもののために。 
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