主人公を引き立てるために無能な登場人物を作り出すのは映画のお約束だ。しかしこの映画には主要な登場人物にはそういった無能を晒す人間がいない。潜入捜査官イ・ジャソン。兄貴分チョン・チョン。冷徹な男イ・ジュング。鬼官憲カン・ヒョンチョル。彼等の計略合戦がこの作品の大半を占めているのだから素晴らしい。
ヤクザモノ映画といえば長ドス振り回してカチコミをかけるのが邦画でのイメージだが、それを払拭し現代の企業ヤクザのイメージをこれでもかと味合わせてくれるだろう。
最初は大馬鹿ボンボン野郎だと思っていたファン・ジョンミン演じるチョン・チョンにいつのまにか魅了されているのは、この作品で一番評価したい。映画終了後には兄貴と呼ばずにはいられないだろう。パチモンの時計を送ってほしい。
結末はぜひあなたの目で。
