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エヴァの告白のRyuのレビュー・感想・評価

エヴァの告白(2013年製作の映画)
3.5
1921年。敬虔なクリスチャンのエヴァは妹のマグダと共に戦火を逃れ移民として、ポーランドからアメリカに渡ってくる。しかし、マグダが入国審査で結核と診断されて、収容されてしまう。さらに頼りにしていた叔母が迎えにこなかったため、強制送還されそうになるが、ブルーノという興行師に救われる。エヴァはマグダを引き取るお金を工面するためにブルーノのもとで働くことになるが、彼は裏で売春の斡旋も行っていた。

キャッチコピーの「ただ生きようとした。それが罪ですか?」が突き刺さってきます。ただ生きていくために、ただ幸せになるために、お金を稼ごうとしているだけ。しかしながら、エヴァはクリスチャンということで、様々な葛藤に悩まされます。そこに2人の男に挟まれる愛憎劇が組み合わさって、めちゃくちゃ陰鬱な雰囲気が漂う作品になっていました。
とにかく終始暗くて、話も淡々と進むため、観ていて決して気持ちのよいものではありませんでした。さらに今作のテーマである“移民”と“キリスト教”というのが両方とも日本だと馴染みがあまりないもので、それもあってか物語にも中々入り込みにくいと思いました。
そんな救いようのない状況下のエヴァや彼女の美しさに魅せられてしまった男たちを演じたキャスト陣の演技合戦は非常に見応えがありました。マリオン・コティヤールの酷な目に遭いながらも生きようともがく姿がとても印象的でした。ホアキン・フェニックスのいつもは優しくて気立てがいい感じだけど、キレたら怖くなるのとかも凄かった。急にプツッと何かが切れて早口で怒鳴り散らかす姿はホントにちょっと怖かったです。この2人は今やオスカー俳優で、その貫禄を見せつけてくれました。マジシャン役のジェレミー・レナーも2人に負けずとも劣らない好演だったと思います。
テーマ的にちょっと取っ付き難いし、展開も暗くて重いので、観終わったあとはちょっと疲れを覚える作品でした。
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