みかんぼうや

ペコロスの母に会いに行くのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

ペコロスの母に会いに行く(2013年製作の映画)
3.3
【直球すぎるベタベタなストーリーと演出だが、やっぱり涙せずに入られない。認知症をコメディタッチで明るく見せているところも個人的に好感。】

キネマ旬報2013年ランキング第1位ということで以前から興味があり初視聴。認知症の母を持つ息子の視点と母との思い出、そして母の記憶を辿る回想シーンから描くコメディタッチのヒューマンドラマ。息子である岡野雄一さんの自伝的エッセー漫画が原作になっている実話ベースのお話です。

映画としては、正直なところ、物語の展開もたびたびの“泣かせ”演出もどちらもかなり直球のベタベタな作品だな、とひねくれ者の私は思いつつ、でも結局しっかり何度も泣かされてしまいました。

というのも、自分も年齢を重ね、最近以前より体力も落ち少し忘れっぽくなってきた母の健康を気にする機会が増えたたこともあり、今から先のことを考えたときに、やはりこの2人の母と息子の関係性に自分と母を重ねて合わせてしまい、自然と感情移入していたのでしょうね。ちょっとした2人の温かい会話のやりとりや、年老いていく母の姿、若く元気だった頃の回想シーンを見るだけで、涙腺結構やられ気味でした。

あと、かなり暗くなりがちな認知症家族物を、コメディタッチで明るく描き切ろうとするあたりも個人的には好感です。認知症を、ただ家族の重い課題と捉えず、前向きに向き合うところに本作の映画としての意義を感じます。

映画としては、先述のとおり、かなりオーソドックスで強い特徴があるわけではないですが、気持ちが温かくなるいい作品でした。
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