産まれてすぐに母と死別してしまった娘・カルメンシータが、闘牛士としての才能を開花させていくという物語を『白雪姫』をベースに作り上げた不思議な映画。
闘牛士と白雪姫という、交わりそうにない二つの要素の合成だけでも面白いんだけど、まさかの白黒&サイレントという構造に驚き。わざわざサイレントにする必要あるかなぁとチラリと思ったりもしたけど、極力セリフを省いて絵面のみでストーリーを表すあたりがまさにおとぎ話を描いた絵本のような雰囲気になっていて良かったと思う。生き別れになった父との束の間の幸せな時間や成長したカルメンシータと小人達の触れ合いなんかは、色もセリフもないのにものすごい煌めいたシーンのように見えた。
話としては小人達が登場してからかなり『白雪姫』に忠実なものになっていくので、ある程度安心しながら観ていたら、結末が思いもよらないものでひっくり返りそうになった。今までのおとぎ話的な雰囲気から一転、といった感じで、かなりショッキングだった。これは"本当は怖いおとぎ話"みたいに捉えればよかったのだろうか…。個人的にはもうちっと、素敵なオチが観たかったな…。
(2015.69)
