OASIS

悪の法則のOASISのレビュー・感想・評価

悪の法則(2013年製作の映画)
3.5
有能な弁護士である男が、妻の婚約指輪を購入する為に軽い気持ちで麻薬ビジネスに手を染めるが、徐々に取り返しのつかない事態へと発展していくという話。
監督はリドリー・スコット。

一生縁が無いと思われていた世界に、気づけば一歩どころかズカズカと踏み入れていた事を悟った瞬間に感じる恐怖に背筋が凍る。
そんな瞬間が訪れるまで余裕の態度を見せ続ける主人公に、私もまんまとノセられてしまいました。
思えば、そこかしこに警告が散りばめられていたのに見て見ぬフリをしていた。
主人公が妻の指輪を選ぶ瞬間、ブルーノ・ガンツ演じる宝石商がダイヤモンドの輝きを語り、選択を進める段階からもう既に岐路に立たされていたというのに・・・。

ハビエル・バルデムの部屋には無機質で白と黒のみのインテリアが並び、グラスの中には赤い血の色をしたドリンクが満たされているし、ブラッド・ピットは目に真っ赤な痣を付けて殊更に退却を促す。
しかし、彼らの余裕綽綽な態度に触発されて自分も同じように他者より優位に立っていると錯覚し警告を無視し続ける。
その結果、最も余裕な態度を取っていた人物が何気ない流れ弾で死に、スルリと皆の隙間を掻い潜って商売に精を出す男が衆人環視の場で惨たらしく死ぬという皮肉な末路を辿る。

表裏一体どころか、何処と何処が繋がっているかも定かではないような境界線で結ばれている日常と非日常。
普段は見て見ぬフリをしているだけで、ちょっとした好奇心で踏み入れたら骨の髄までしゃぶられる地獄が待っているかも。
あぁ、なんて怖い。
そして、なんてずる賢くて腹の底が見えないんだキャメロン・ディアス。やだなぁ、怖いなぁ(稲川淳二風)
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