こたつむり

るろうに剣心 京都大火編のこたつむりのレビュー・感想・評価

るろうに剣心 京都大火編(2014年製作の映画)
4.0
遺伝子の1/10が少年ジャンプで出来ている人は必見!な作品。

前作では色々と不満がありましたが、本作はそれらの不満を吹き飛ばすかのような作品であります。やはり、原作屈指の人気エピソードを映画化しただけありますな。冷静に鑑賞すればマンガとのギャップを感じてしまったり、現実離れしたアクションにひいてしまったりしてしまうかもしれませんが、その辺りを気にしていたらダメなのです。ゆで理論(100万パワー×二刀流×2倍のジャンプ×3倍の回転で1200万パワー)を受け入れるくらいでないとダメなのです!

あ。でも、ただ勢いがあるだけ、でもないです。
原作の造形、雰囲気、仕種などを壊さずに。
明治時代の空気感を明暗で演出し。
マンガが持つダイナミックな部分を殺さずに。
時には大胆にクラシカルな音楽で攻めて。
細かい部分も時間とお金をかけて作り込んでいます。
特に御庭番衆が準備を行うシーンなどは、省かれてもおかしくない場面ですが、そういう細かい積み重ねが本作を良作に押し上げている気がします。
さすが、NHKで大河ドラマを作られた監督さんだけあります。

また、各キャラクタを演じる俳優さんたちも◎。
前作から出ている人たちは役が板についてきているし、今作初登場の人たちも原作を模した形で好感触であります。いささかマンガ的、と揶揄されるのは原作がマンガ…だから仕方ないですよね。

まあ、でも本作のような作品がハリウッドで公開されていたら僕も酷評するのかもしれません。本作が少年ジャンプで連載されていた、ということを知っているからこそ、色々と許容できるのも事実。
いやはや、映画というのは杓子定規に評価が出来ないからこそ面白い、と思います。

ということで、僕にはピッタリと嵌った作品でありますが、題材が題材だけに少年漫画遺伝子所有者でないと楽しめないかもしれません。惜しいことです。
あと、前編・後編で分かれている作品なので多少の消化不良は残ります。
まあ、前後編合わせて四時間あれば分割するのも致し方ないのかもしれませんが。某作品みたいに前後編で三時間くらいだったら尺削って二時間半にまとめんかい!なんて文句も言いたくなりますけどね。
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