とびん

渇き。のとびんのネタバレレビュー・内容・結末

渇き。(2013年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

妻の不倫に激怒し、不倫相手を半殺しにしたことで刑事を首になった主人公が自分の娘の失踪を死にものぐるいで追いかける話。
役所広司の怪演がすごかった。
演出も初めての試みなのか、一貫性がない演出というか、暗い雰囲気なのに女の子っぽい歌を挿入するなど、今までにない雰囲気を醸し出していた。しかし、それらがマッチしておらず、終始気持ち悪い感覚がした。その『気持ち悪さ』は、グロさや狂気から来るものではなく、演出として気持ち悪かった。そのため、映画そのものの雰囲気に違和感があった。
ただその感覚はサイケデリックに近いものがあり、そういった意味では成功しているのかもしれない。
だが、脚本が薄すぎる。狂った精神状態はうまくできているが、だからなのかキャラの心情変化がまるでない。
ただ愛が欲しい愛が欲しいとねだっている幼児を見せられてるだけ。その幼児が成長するでもなく、何も変わらない。
展開はあるわりには主人公の気持ちは一辺倒のまま。
あと屋上でのオダギリジョーと役所広司の殺し合いのシーンも成熟していないキャラたちのせいか、とても幼稚に見えた。ただ妻夫木くんのキャラは気味悪くてとてもよかった。
最後も主人公は娘の死を信じられないまま、娘を殺害した先生に死体を延々に掘らせる訳だが、それも結局は変わっていない証拠。
娘がなんで死んだんでしょう? というパートが長すぎる。というか、そこだけで終わっているのが、惜しい。
ドラマだったらサスペンスは楽しむものだからそれでいいけど、映画なら種明かししたあとの行動や心情変化が欲しかった。
演出に凝りすぎて脚本が乏しい作品だった。
とびん

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