OASIS

サカサマのパテマのOASISのレビュー・感想・評価

サカサマのパテマ(2013年製作の映画)
2.5
かつて起こった大災害によって重力が逆転してしまった世界で、地上の青年エイジと「サカサマ人」のパテマが出会うというSFアニメ。
「イヴの時間」の吉浦康裕監督による長編作品第二弾。


ちょうど同時期にキルスティン・ダンスト主演の「アップサイドダウン 重力の恋人」が公開されていて、設定が酷似していると話題になっていたけども、内容自体はそれ程似通ってはいなかった。
こちらの方が、設定を突き詰めて物語を引っ張って行こうという意欲は感じられたが、その設定が逆にアダとなって作品世界の説明ばっかりになってしまい本末転倒になっているように思えた。
最後の最後まで説明が続き、その部分に力を割いているからエイジとパテマのボーイミーツガール的な要素がどうしても薄くなってしまう。
二人が出会ってから両想いになって、パテマが敵に捕まってエイジが助けに行くという流れになるまでの感情の流れが早すぎて、「いつの間にそんな親密になっているのか?」だとか「そこまでしてパテマを助けに行く理由は?」等、当然描かれる部分が薄っぺらく思えてしまった。
重力逆転アクションはこの映画の見どころではあるんだけど、パテマの体重の分主人公が軽くなって大ジャンプ出来るというのは良かったのだけど、ゆっくりと下に落ちて行ったり、パテマの意識が働いていない場面でもコントロールが十分にされていたので、一体どういう原理で制御できているのだろうとも思ってしまいました。
後、サブキャラクターではエイジに思いを寄せるクラスメイトや、パテマに恋心を抱くポルタ等絡ませればそれなりに面白くなって来そうな人達を尽く雑に扱っていたようにも思えました。


死んだ父が夢を抱いていた空へと想いを馳せる青年の前に不思議な少女が現れるというどこかで聞いた話や、悪役である君主に漂う小物感からは「ラピュタ臭」がにじみ出ているし、作品全体からも「未来少年コナン」や「カリオストロの城」等とにかくジブリリスペクトが垣間見える映画でした。
でも、アイガ国のディストピア感や地下世界のスチームパンク風なビジュアルは目にも楽しくて十分劇場クオリティのアニメであると思いました。
しきりに上下反転する画面は酔ってしまいそうでしたが。

パテマの背がもう少し大きかったら、エイジ君と抱き合った時のビジュアルが性的にアウトになってましたね・・・。
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